結婚式

聖号十念

そろそろ八重桜の季節となってまいりました。
わたくしの母校の記章が八重桜で、桜並木が散り果ててからも
八重桜を愛でる機会があったものだと郷愁が呼び起こされておりますが、
皆様いかがおすごしでいらっしゃいますか。

本日は、父方の従姉妹の方の結婚式に参列いたしておりました。
お参りくださった方にはご挨拶もできず失礼をいたしました。

ご新婦の方が、私の父方の従姉妹にあたります。
ご幼少のころから、いろいろとご苦労なさった方と伺っていましたが、
雨天と対照的に晴れやかな笑顔を拝見できてなによりでございます。
逆境と向き合い、笑顔で乗り越えるすべを見つけてこられた方だからこそ、
すばらしい御新郎様とご良縁を持たれたこと、必然とはいえ、大変おめでたく存じます。

お式のさなかに、私と私の母の大好きな曲、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」の「Climb every moutain」が流れ、母ともども感動いたしました。
とても奥深い歌詞で、拙僧の翻訳で僭越ですがご紹介させていただきます。

Climb every mountain すべての山にひとつひとつ登ろう

すべての山に登ろう
高き山も低き山も探そう
すべての脇道を追っていこう
知っているすべての小道を

すべての山に登ろう
すべての渓流を下ろう
すべての虹をひとつひとつ追っていこう
あなたの夢を見つけるまで

あなたが与えられるすべての愛をきっと必要としている夢を。
あなたの人生のあまねく日々で、
あなたが生きている限りあなたの愛を必要としている夢を。

すべての山に登ろう
すべての渓流を下ろう
すべての虹をひとつひとつ追っていこう
あなたの夢を見つけるまで

原文は命令形で「すべての山に登れ」という意味なのですが、
歌い手が主人公の育ての母にもあたる方ですので、
「私はいつもあなたのそばにいる、だから勇気を出して、あなたの道を探しなさい」という「寄り添い」の立場で翻訳させていただきました。
「だろう」という「will」の訳を、願いをこめて、「きっと」と訳させていただきました。拙文、失礼いたしました。

御新郎のご来賓の方が「探して、探して、やっと見つけられた最高の方」とおっしゃったのが
歌詞と重なり、とても心に残りました。
何より、今までのご苦労があったからこそ、いつも他人のために、ご自分を律してこられた方が、
大輪の花のような笑顔を見せてくださったことが嬉しいです。

愛、というのは仏教では執着(渇愛)の縁起(もととなるもの)であるもの、と
定義されており、私は修行の当初、無理もないけど夢もないなあと思ったものでございました。
(申し訳ありませんが不勉強なもので、つい卑近な感覚論でものを申し上げております。お叱りください)
ですが、パートナーへの愛が、身内、家族、友達、知り合い、へとどんどん広がっていって、
あまねく人へつながっていけば、それは大きい布施行の源になり、
「自分でない人に共感しよう、気持ちを分かち合おう」という心が広がっていけば
今の厳しい時代が少しでも良くなっていくのでは、と思っております。

拙僧もいまだ貪瞋痴の三毒の中毒症状に悩む凡夫ではございますれども、
新しいご家庭が御仏縁に恵まれますよう、心よりご祈念いたしました。
どうぞ末永くお幸せにお過ごしなさいますよう。

南無阿弥陀仏