法然上人800年御忌開催中

聖号十念

大変な暴風雨が上陸しており、当山の屋根も雀の運動会から百舌の徒競走に移るかのような賑わいを伝えておりますが、
皆様さぞご不自由なこととお察し申し上げます。ご無事でしょうか。

さて、4月1日~11日まで、大本山増上寺では法然上人の御忌を開催しております。
今年は、正確には801回忌に当たりますが、昨年は震災により、800年大御忌の開催が見送られましたため、
本年を800年大御忌として、平年より長い期間法要をさせていただいております。

本日は、青年会の活動の一環として、団体参拝のご案内のお手伝いに参りました。
バスガイドさんのように増上寺の名所のご案内をするのが青年会の年中行事の一つです。

唱導師は、九品仏(駅名にもなっている有名なお寺です)の浄眞寺のご住職がお勤めでした。
団体参拝の檀信徒の方もたくさんおいでになりまして、私は経験が浅いもので、
先輩僧侶の補助として、ご案内をさせていただきました。
先輩の、聞き取りやすく、わかりやすいご説明が大変勉強になりました。
参拝のお客様がたも、楽しそうに微笑んでおられ、とても嬉しく感じました。
先輩は、私よりもお年の若い方なのですが、大きいお寺でご住職としてはるかに長くお勤めの方で、
堂々としたお話しぶりの底にある、大きな責任と、並々ならぬご研鑽を感じました。

午前からずっと今にも崩れそうな曇天でしたが、皆様の御功徳のためか、
雨も弱まりましてすばらしいご法要を拝見することができました。
普段当山では僧侶2名でご法要をお勤めしておりますが、数十人の僧侶の方々が一堂に介し、
朗々とお経を響かせる大殿の様子はまさに壮観です。
個人的には、唱導師様が、たくさんの可愛らしいお稚児さんたちをお清めになる祈願に際しまして、
子供たちが、賢く、人の痛みや苦しみを感じ取れるよう、そして健やかに育つようにというお祈りの言葉に
胸がいっぱいになりました。
私には子供はおりませんが、妹夫婦が2歳になる双子のために働きながら身を粉にしてがんばっている姿、
母や叔母がいつも笑顔で育児を支えている姿が思い出されたものです。
今日この場にいらっしゃれないお子様たちにも、、仏様のお光が届くようご祈念いたしました。

余談ではございますが、空き時間にたまたま隣り合った青年会の同年代の方が、
両手のひらに乗せた、茎の根元から折れた咲いたばかりの桜の花を数輪見せてくださいました。
「風が強いから根元から折れてしまうのですよね」
とおっしゃり、その方は惜しむかのようにそっと両手で花を抱えられました。

咲きかけの桜に関して、私はせいぜい「暴風で花が落ちてしまわないといいな」と散文的なことを思うくらいで、
「すでに落ちてしまった花」には全く思いが至っていませんでした。
例え段取りで頭がいっぱいでなくても、慣れて緊張していなくても、私だったら落ちた花に気づけただろうか。
「もう人の目を楽しませることができなくなったもの」「本来の役目を果たせず資本価値を失ったもの」に
目をとめ、拾い上げ、いつくしまれたその方を尊敬いたしました。

毎回ブログの記事ごとに、自分の未熟さを感じる私ではありますが、
決して卑屈になりすぎることなく、自分も人様の役に立てるようにがんばろう、と思えるのは、
こうした立派な先輩方が、未熟な私をいつも温かく導いてくださるからだと思います。

私も先輩の身となったとき、皆様に良いお返しができるよう、
今は勉強の日々です。

大本山増上寺の御忌は、11日まで開催しております。
3日現在、桜は1~2分咲きでございました。蕾もまだまだ皆様をお待ちしておりますので、
よろしければぜひおいでください。
6日は私がお山でお手伝いしておりますので、お目にかかれれば幸いでございます。

合掌